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ありがちなネタなので、かぶってたら生暖かくスルーしていただけるとありがたいです。
一番の心配は、ちゃんと書き終われるかどうかということです。
<追記>
……すいません、何のネタかをうっかり書き忘れてました。
涼宮ハルヒの憂鬱の二次創作です。
したがって原作者様、出版社などとは一切関係ありません。
大変失礼しました。
<1>
1月初旬のとある朝。
キンと冷え切った空気から逃げるようにベッドの中に潜っていた俺の耳に、聞き慣れた目覚ましの音がぼんやりと届いた。忍び寄ってくる目覚めを振り払うために、更に丸まって布団にしがみつく。再び心地よい眠りに戻りかかった瞬間、スパーン、とキレの良い音を立てて部屋の襖が開けられ……ん、襖?
「キョンくーん、目覚まし鳴ってるよ、起きてー」
部屋に入ってきたのは毎度おなじみ我が妹。掛け布団ごしに俺を揺さぶって、強制的に覚醒へと追い立てる。なんだ、いつも通りだな。さっきの襖の開く音は気のせいか、じゃなきゃ夢の名残か……
「ちょっと!いい加減に起きなさいよバカキョン!」
しかし次に聞こえてきたのは、掛け布団の厚みも貫通する特大ボリュームの罵声。明らかに妹とは違う、聞き慣れてはいるがここには存在するはずのない人間の声。状況を確かめるためにベッドから頭を出そうと俺がもがいたのと同時に、有無を言わさぬ素早さで掛け布団がひっ剥がされた。朝の冷気にさらされた全身が一気に総毛立ち、欠片1つ残さずに眠気も消し飛んだ俺が見上げた先にあったのは……今まさに俺の脇腹に向けて落ちてこようとするフライングエルボードロップの切っ先。現状を把握出来ないままに、とにかく反射的に高速寝返りで肘の着地点から逃げた自分を心からほめてやりたい。ブラボー、ハラショー、よく避けた俺!そして避けた勢いに乗って、俺は襲撃者に怒声を浴びせる。
「……って朝っぱらから何してんだハルヒ!」
そう、空振りに終わったニードロップに舌打ちしつつ、目の前で鮮やかに受け身を取っていたパジャマ姿の女子は、誰あろう涼宮ハルヒだった。
なんだこれは?なんでこいつが俺の部屋にいる?まさか、言葉にするのも憚るようなことをしでかしちまったとでもいうのか……俺が?ハルヒと?いや、あり得ない、100パーセントどころか1000パーセントとか2000パーセントぐらいの率であり得ない。
「目覚ましがガンガン鳴ってるのに起きてこないあんたが悪いんでしょ!不出来で低血圧なバカ兄を見捨てずに、わざわざ起こしに来てやった心優しい妹に感謝しなさいよ!」
トレードマークのリボンも結ばれていないハルヒの髪には、まだ若干の寝癖が残っており、オーバーアクションと共にあっちこっちにサラサラと動き回った。まだ頭がうまく動いてないが、とりあえずここは何か言い返して時間を稼ごう。
「うちの妹に感謝するのはやぶさかではないが、なぜお前が妹の心情を代弁してるんだよ。まず、どうしてお前がパジャマ姿で家にいるのか説明しろ。いや、説明なんぞしなくていいからとっとと、出て……行、け……?」
朝一番としては自己新記録な早口でまくし立てていた俺は、加速度的に眉間の皺を深くしていくハルヒの背後に見える、薄暗い自分の部屋の不可解な変化に気づいた。
それは変化なんて生易しいものじゃなかった。俺が寝たくっていたのは畳の上に敷かれた綿入りの布団であり、開け放たれた襖からは黒光りする板張りの廊下が覗く。
ここはどこだ?
「あれだけやられといてまだ寝ぼけてんの?」
不機嫌オーラを全身から放つハルヒは、畳を踏み破らんばかりの勢いで立ち上がると、襖の向こう正面にある2面の障子の前に立ってズダンっと押し開き、年季の入った雨戸を戸袋へとたたき込む。冴えた光が部屋へと差し込み、ようやく室内がハッキリと見渡せるようになった。ん?この部屋と庭、どこかで見覚えが……そう思った矢先に、廊下の方から朗らかな声が響いた。
「おっはよー!今日も朝から元気いっぱいなのはいいけど、早くしないと朝ご飯が冷めちゃうよっ」
むしろ元気いっぱいなのは俺らよりあなたの方ですよ、と言いたくなるほどにナチュラルハイテンションな高笑いと共に現れたのは、制服姿の鶴屋さんだった。
「あたしもごはん食べるー!」
それまで俺の背中にのし掛かっていた妹は、朝ご飯と聞いた途端に俺から飛び降り、鶴屋さんへと駆け寄るとその細腰に正面から抱きついた。
「よっし、じゃあ先に行ってみんなの分まで食べちゃおっかっ!」
抱きついてきた妹に視線を合わせるようにしゃがんだ鶴屋さんは、立ち上がりざまに妹を抱え上げると2人で笑い合いながら食堂へと向かった。なるほど、見覚えがあると思ったら、ここは鶴屋さんの家だったか。となるともしや、『SOS団でお泊まり会in鶴屋家withうちの妹』とかが開かれてたのか?それならハルヒがパジャマ姿に寝癖付きでいるのもうなずける。ただそうなると、お泊まり会開催決定から実施に至る記憶が、俺の脳内から完全に欠落しているという奇妙な現象が発生していることになり、それはそれでやっぱり問題だ。宇宙人も未来人も超能力者も神様パワーも必要としない、一般常識の範囲内で収まる説明を探して頭を抱える俺を、ハルヒは遠慮なく布団の上から蹴り出す。
「あーもー、せっかくの朝ご飯が冷めてたらあんたのせいだからね!あんたも早く着替えて食堂に来なさいよ。あたしより食堂到着が遅かったら、あんたの朝ご飯は消えてなくなると思いなさい!」
襖の桟につるされていた俺の制服一式とコートをハンガーごと投げて寄越すが早いか、
「ただし、あんたの方が先に食堂についても、あたしのご飯はちゃんと確保しておきなさいよ!あたしの分に手をつけたりしたら、死よりも辛い半殺しにしてやるんだから!いいわね!?」
という捨て台詞と共に、ハルヒは部屋から去った。1人になった途端にぶり返した寒さと、ハルヒに蹴られた痛みで考え続けることもままならなくなった俺は、辺りに散らばった制服を拾って着替え始めた。立ち上がったついでに障子を閉め、肌が直接外気に触れる時間を出来るだけ短縮するために素早く制服を身につけて気がついた。普通、翌日が学校だって日に、わざわざ制服を持ち寄ってまで友達の家で外泊なんてするか?
やっぱりどこかおかしい。
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