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ハルヒSSの続きです。
遅くなって申し訳ありません。
上手いこと区切れる場所を作るって難しいですね……orz
明日は速やかに続きをUPします。
遅くなって申し訳ありません。
上手いこと区切れる場所を作るって難しいですね……orz
明日は速やかに続きをUPします。
<2>
着替えを終えた俺はこの和室の様子をまじまじと観察する。ついこの間も吹雪の中で謎の館に閉じこめられたばかりだし、自分が置かれた状況をしっかりと確認しておかないと。廊下への出入り口となっている襖のある面を基点に時計回りに見回せば、右側には1面の砂壁、背後には庭へ続く縁側と障子、左側にはまた別の襖の面……この4つに四方を囲まれた20畳敷きの無駄に広い部屋だ。天井からはドーナツ型蛍光灯を内側に仕込んだ、小振りな行灯仕立ての灯りが下がっている。桟の上にはめ込まれた欄間から漏れる光から察するに、左側の襖は隣の部屋とのしきりになっているようだ。
砂壁と襖の接する角には、光沢ある渋色の木目に黒い引き手や細工の付いた、年代物の背の低い和箪笥が置かれている。そしてその隣に並んでいるのは現代的な学習机と椅子。机の上には学校指定の鞄が無造作に置かれている。さらに隣には洒落た作りの和洋折衷な本棚……なんだ、この学習机の恐ろしいほどのミスマッチ感は、完全に両隣の家具から浮いてるぞ。それにこの机は間違いなく俺の自室に置いてあったやつだ。中学入学のお祝いとして田舎の祖父母から買い与えられて以来、約4年の歳月を共にした家具だ、見間違える訳がない。だがなぜそんなものがここにある?いつ持ってきたんだ?
一方、本棚の方には漫画やら参考書やらが雑然と詰め込まれている。おずおずと近づいて英語の参考書を取り出しページをめくると、俺の筆跡での書き込みがあちこちに残っていた。もしやと思って和箪笥の適当な引き出しを開けてみたら、こちらには俺の服がほぼ全て収めてあった。しかも、と言うかやっぱりと言うべきか、下着類まで完璧にそろえられている。これはもはや、外泊というよりも引っ越しだ。家具、服、本、それに妹までおまけに付いてきた。ここまで来ると違和感とか嫌な予感とか言うレベルの問題じゃない、またぞろ厄介な事に巻き込まれているという確信が胸の奥にふつふつと湧き上がる。俺には1日の始まりを穏やかに向かえる権利すら与えられないというのか。
「……勘弁してくれ」
心の底からせり上がってきたようなでっかいため息をついて、俺はがっくりとうなだれた。見下ろした足下に、どこからともなくすり寄ってきたメタボ気味の毛玉が、俺を見上げて取って付けたようにニャーと鳴いた。なんだよシャミセン、お前も来てるのか。もさもさとした毛並みを撫でて少しでも癒されようとしゃがみこんだが、シャミセンは俺の足下からするりと抜け出した。そのまま悠然と部屋を横切り、隣の部屋へと続く襖の前で腰を下ろすと、再び気の抜けた声でニャーと鳴く。すると襖が細く開き、中からもう1匹の三毛猫が顔を出した。シャミセンによく似た、けれどシャミセンよりも若干細面のメス猫。
「シャミツー……?」
「ご名答です」
襖が更に大きく開けられ、そこから爽やかな声音とにやけた面がこちらに滑り込んできた。澄み切った朝の空気には似つかわしい、けれど今の俺の気分には全くそぐわない完璧な笑顔に、思わず舌打ちのひとつもしたくなる。
「その様子だと、あなたもこの状況に違和感を感じているようですね」
俺の眉間に深々と刻まれた縦皺を眺めて、古泉の笑顔が苦笑へと変わった。
「しかしこんな物はまだ序の口です、食堂へ行けば絶句するような光景が見られますよ……いや、光景としてはつい最近目にした物と似ているのですが、意味する物が全く違っていましてね」
こいつの話は相変わらず回りくどい。さっさと結論だけを簡潔に言え。
「涼宮さんを原因とする極局所的な世界改変です」
古泉は結論を簡潔に述べてくれた。だが、俺から要求しておいてなんだが……すまん、結論だけじゃさっぱり訳がわからん。
「改変されてどうなったんだ?」
「じゃあ食堂へ行きましょうか。あなた自身が確認した方が話が早いでしょう」
古泉は足下でじゃれあっている三毛猫2匹を抱きかかえて隣の部屋へ姿を消し、猫の変わりに鞄とコートとマフラーを持って戻ってきた。俺も、ハルヒが投げてよこしたコートと机の上の鞄を取ると、古泉の先導に従って食堂へと向かった。
着替えを終えた俺はこの和室の様子をまじまじと観察する。ついこの間も吹雪の中で謎の館に閉じこめられたばかりだし、自分が置かれた状況をしっかりと確認しておかないと。廊下への出入り口となっている襖のある面を基点に時計回りに見回せば、右側には1面の砂壁、背後には庭へ続く縁側と障子、左側にはまた別の襖の面……この4つに四方を囲まれた20畳敷きの無駄に広い部屋だ。天井からはドーナツ型蛍光灯を内側に仕込んだ、小振りな行灯仕立ての灯りが下がっている。桟の上にはめ込まれた欄間から漏れる光から察するに、左側の襖は隣の部屋とのしきりになっているようだ。
砂壁と襖の接する角には、光沢ある渋色の木目に黒い引き手や細工の付いた、年代物の背の低い和箪笥が置かれている。そしてその隣に並んでいるのは現代的な学習机と椅子。机の上には学校指定の鞄が無造作に置かれている。さらに隣には洒落た作りの和洋折衷な本棚……なんだ、この学習机の恐ろしいほどのミスマッチ感は、完全に両隣の家具から浮いてるぞ。それにこの机は間違いなく俺の自室に置いてあったやつだ。中学入学のお祝いとして田舎の祖父母から買い与えられて以来、約4年の歳月を共にした家具だ、見間違える訳がない。だがなぜそんなものがここにある?いつ持ってきたんだ?
一方、本棚の方には漫画やら参考書やらが雑然と詰め込まれている。おずおずと近づいて英語の参考書を取り出しページをめくると、俺の筆跡での書き込みがあちこちに残っていた。もしやと思って和箪笥の適当な引き出しを開けてみたら、こちらには俺の服がほぼ全て収めてあった。しかも、と言うかやっぱりと言うべきか、下着類まで完璧にそろえられている。これはもはや、外泊というよりも引っ越しだ。家具、服、本、それに妹までおまけに付いてきた。ここまで来ると違和感とか嫌な予感とか言うレベルの問題じゃない、またぞろ厄介な事に巻き込まれているという確信が胸の奥にふつふつと湧き上がる。俺には1日の始まりを穏やかに向かえる権利すら与えられないというのか。
「……勘弁してくれ」
心の底からせり上がってきたようなでっかいため息をついて、俺はがっくりとうなだれた。見下ろした足下に、どこからともなくすり寄ってきたメタボ気味の毛玉が、俺を見上げて取って付けたようにニャーと鳴いた。なんだよシャミセン、お前も来てるのか。もさもさとした毛並みを撫でて少しでも癒されようとしゃがみこんだが、シャミセンは俺の足下からするりと抜け出した。そのまま悠然と部屋を横切り、隣の部屋へと続く襖の前で腰を下ろすと、再び気の抜けた声でニャーと鳴く。すると襖が細く開き、中からもう1匹の三毛猫が顔を出した。シャミセンによく似た、けれどシャミセンよりも若干細面のメス猫。
「シャミツー……?」
「ご名答です」
襖が更に大きく開けられ、そこから爽やかな声音とにやけた面がこちらに滑り込んできた。澄み切った朝の空気には似つかわしい、けれど今の俺の気分には全くそぐわない完璧な笑顔に、思わず舌打ちのひとつもしたくなる。
「その様子だと、あなたもこの状況に違和感を感じているようですね」
俺の眉間に深々と刻まれた縦皺を眺めて、古泉の笑顔が苦笑へと変わった。
「しかしこんな物はまだ序の口です、食堂へ行けば絶句するような光景が見られますよ……いや、光景としてはつい最近目にした物と似ているのですが、意味する物が全く違っていましてね」
こいつの話は相変わらず回りくどい。さっさと結論だけを簡潔に言え。
「涼宮さんを原因とする極局所的な世界改変です」
古泉は結論を簡潔に述べてくれた。だが、俺から要求しておいてなんだが……すまん、結論だけじゃさっぱり訳がわからん。
「改変されてどうなったんだ?」
「じゃあ食堂へ行きましょうか。あなた自身が確認した方が話が早いでしょう」
古泉は足下でじゃれあっている三毛猫2匹を抱きかかえて隣の部屋へ姿を消し、猫の変わりに鞄とコートとマフラーを持って戻ってきた。俺も、ハルヒが投げてよこしたコートと机の上の鞄を取ると、古泉の先導に従って食堂へと向かった。
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逃げも隠れもできない、自虐大好き腐れオタクの毒電波発信基地。ベランダからのテイクオフ準備は万全。合い言葉はアイキャンフライ、倒れるときは前のめり。
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カリスマヒッキー
趣味:
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自己紹介:
黒とピンクのアポロチョコカラーリングが好きだと言い続けてはいたが、つい最近になって、正確にはアポロチョコはダークブラウンとピンクだと気付いて絶望した。
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